薬局開業・独立への道53【患者様との雑談の中には宝物が溢れている】

こんにちは。

皆様如何お過ごしでしょうか?

今回も前回のシリーズ52に付随した内容です。
まだご覧になられていない方は是非。

独立開業したは良いが、中々面処方を獲得できず苦労されている、といったご相談を良くお受けします。
お話を伺ってみると、患者様との忙殺されコミュニケーションを怠っていたり、苦手な方が多いようです。
患者様との雑談は地域医療との連携を強めたり、面獲得のチャンスが溢れているものです。

雑談が苦手な方に提示した具体例

⚫︎患者様A男さん

喫茶店のマスター男性(木曜定休)
50代。その土地で40年経営をしている。
いつも定休日に隣の内科の処方箋を持ってくる。
処方は降圧剤一種。数年DO処方。


■どうでもよいと思われてしまう薬局Aの会話

薬局:「こんにちは。今日も同じお薬ですね」

患者A:「うん」

薬局:「血圧は如何ですか?」

患者A:「うん。大丈夫。幾ら?」

薬局:「いつもと同じお薬が30日分になります。〇〇円になります」

※明らかに患者さんが早く帰りたい、あなたとは話したくない雰囲気を醸し出しているのにも関わらず追撃するように会話を続ける薬剤師さんも非常に多いです。

■面獲得が上手な薬局Bの会話

薬局:「あれ?どうしたんですか?今日お店の定休日じゃないですよね?」

患者A:「それがさあ店のエアコンが壊れて修理に3日掛かるんだって!お客さんも暑くて入れられないから、3日間休業よ」

薬局:「あらあらあら大変ですね笑、でもいつもお忙しいから少しゆっくりできますね」

患者A:「まあな。オープンから定休日以外休んだことねーからな。でも今月の売り上げ減っちゃうなあ」

薬局:「マスターのお店居心地よいし、常連さんはわかってらっしゃるでしょうから、それ位じゃ飛ばないですよ」

患者A:「うん。まあたまにはゆっくりするかな」

薬局「ええ。血圧の為にも笑、ところで一応薬局なんで毎回、同じ質問で申し訳ないですが血圧大丈夫ですよね?」

患者A「ずっと1種類で変わってねーから分かるべ?」

薬局「はい笑、それではお会計は○○になります」

患者様から得た有益な情報の具体例

⚫︎患者様A子さん

70代女性。独居。年金暮らし。
10年以上前にご主人を亡くされている。
降圧剤と高脂血症薬を毎月処方されている。近所に内科があるのに、少し離れた内科に通院。


薬局:「こんにちは。そういえばA子さん、前から聞こうと思っていたのですが、何故わざわざ遠い内科に行かれるのですか?近くに○○内科さんがあるのに。」

A子さん:「旦那を殺されたからよ。ずっと微熱と倦怠感を訴えていたのに風邪薬を処方し続けてよくならなかったの。それで今の内科に移ったら末期のすい臓がんで手遅れだったの。〇〇内科の医者やヤブだから分からなかったんだね。向かいの奥さんも誤診で死んじゃったの。それでも(今通院中の)院長が一生懸命専門の病院を調べて探してくれて、最期は専門の先生に診てもらえからね。感謝しているの。だから私は浮気しないの。最初から旦那をこの先生に診てもらっていればね。」


 


⚫︎患者様B子さん

40代。5歳と6歳のお子さんのお母様。
二人のお子さんがアトピーで皮膚科に通院中。


薬局:「今日はまたお子さんのステロイドの比率が下がりましたね!綺麗になりましたもんね」

B子さん:「そうなの。それでね先生にこう言われたの。お子さんの状態はお母様が一番に分かっているから、塗る回数はお母様の判断で適宜調整してね?ヒルドイド残っている?このまま順調に良くなっていたら、ミックスにヒルドイド足してさらに薄めてもよいからね?冬場に悪化しちゃったら前の比率で処方してあげるから、無理に薄めたの使わないでね?って言ってくれてね?本当良い先生なの。」

如何でしょうか?

越してきたばかりの患者様は良い病院が無いか?と薬局で相談されることはよくありますよね?
その土地に何十年も住んでいる患者様の意見ほど信頼できる情報はありません。

A子さんとの会話に出てきた○○内科さんは、とても患者様にオススメ出来ませんよね?

近所だから安易に処方箋を獲得しやすいかも?と紹介すると薬局の信頼を低下されるピンチを招く事になります。
しかしながらB子さんとの会話に出てくる皮膚科の先生は、その診察のやり取りだけで名医だという事が分かります。

アトピーが中々よくならないというお子さんを持つお母様から相談を受けた場合、是非オススメしたい病院です!

このようなやり取りが切欠で家族ごと薬局を変えて下さる方も多々いらっしゃいます。

患者様との会話を楽しみつつ、その中に宝物は沢山落ちているというお話でした。