薬局開業・経営への道8【コンサルタントの闇】

こんにちは、ひかり薬局の秋山です。

今回は独立薬剤師の皆様が人生を台無しにしないために、薬剤師を騙す悪徳開業コンサルタントの手口をご紹介していきます。

薬局開業支援・コンサルタントを銘打っている様々な仲介業者

まずはじめに。インターネットを検索すると様々な薬局開業をサポートしている業者さんがあるかと思います。独立する薬剤師の方々はそういった情報も検索されるかと思います。勿論、素晴らしい業者さん及び担当者の方々もいるかと思いますが、これからリスクを負って薬局開業を目指される薬剤師の皆様に固定観念・思い込みを取り払っていきたいと思います。

例)

・日経DIに乗っている薬局M&A仲介業者はすべてちゃんとした企業だという思い込み

・高い仲介料を払ったら、どの仲介業者もきちんと丁寧な仕事をしてくれるという思い込み

・都内の一等地にある高級オフィステナント内に入っている仲介業者はきちんとした企業だという思い込み

・仲介業者の担当者が売り手オーナーからきちんと聞き取りをしているという思い込み

・ホームページ内でたくさん独立支援実績があるから優良なM&A仲介会社であるという思い込み

・独立支援をうたっている薬局チェーンで頑張って、会社に貢献していればいつか独立できるという思い込み

・一流ハウスメーカーが誘致したドクターだから良いドクター、または妥当な家賃だという思い込み


これら思い込みは、選択を失敗したときに皆様の生活を破滅に追いやる可能性のある危険な行為です。是非これを機に知識を身につけて頂ければと思います。

順に説明していきます。

日経DIとは日本経済新聞社の子会社が独自に取材を行い全国57000件ある薬局に無償配布している医療情報誌です。だから格式が高いのです。
しかしながら、そこに広告の帯を乗せているM&A仲介会社のすべてが優良会社というわけではありません。現に事業譲渡後に仲介を受けた法人や独立した薬剤師から訴訟を頻繁に起こされている会社もあります。

開業支援業者を利用した方の被害【実例】

ケース1️⃣:悪徳コンサルによる隠蔽
のれん代はやけに格安だったが、仲介料はしっかり500万円(税別)払わされた。
事業譲渡は揉め事もなくスムーズに完了し、明日から自身の薬局として意気込んでいた。
開局初日の朝、門前クリニックの事務が当たり前のように今月、必要な事務用品・消耗品の一覧15万円分の発注リストを持って現れた。
どういうことか皆様はお分かりですよね?
こちらの薬局は平均技術料も105万円程度しかなく、これではやっていけないと開業支援会社に仲介費用の返還と前オーナーに譲渡の無効を訴えたが、ともにこれを拒否。
現在も係争中です。オーナーはそれでもよいという別の独立希望薬剤師に自身が購入した金額よりも遥かに安い値段で事業を売却済み。

※これは仲介会社の中でも業績が乏しい担当者が売り上げに困り、故意的にオーナーからの聞き取りの事実を隠ぺい、良いことだけを薬剤師に吹聴して仲介を行って起きたケースです。


ケース2️⃣:FCチェーン
2店舗の薬局オーナーが、3号店を探していたところ、FC店舗数数十店舗を誇る有名な薬局フランチャイズを知り登録。
会社担当者が月に5~10件コンスタントに独立開業案件を持ってくる。殆どは不良債権案件だったが、たまに優良案件もある。
この担当者から都内一等地に新規オープンする皮膚科前のテナントを抑えたと連絡があり、開局したいなら早いもの勝ちだ。決断は早くしろと急かしてくる。
FCは薬剤料込で売り上げの10%(税別)。
丁度出店をしたいと思っていたエリアで他の会社に取られたくないと焦ってしまい、さっそく不動産契約。
不動産手数料は27万円、保証金は270万円(家賃の10か月分)。担当者が門前クリニックの院長とアポが取れたとの連絡が入り、早速院長と理事長に挨拶に行くと…

独立薬剤師:「薬局開業することとなりました、〇〇と申します。本日はご挨拶にあがりました、宜しくお願い致します。」

院長「どちらさまですか!?」

  「こちらで薬局は探すと散々不動産屋にも伝えましたが」

  「いきなり押しかけてきて宜しくお願いしますとは?あなたたちと一緒にやるつもりはございません」


結局このオーナーは開局を断念…元々、院長が薬局の紹介を依頼していた医療機器メーカーが紹介した会社に話を譲り300万円の損金を被りました。
仲介会社の担当者に損金の保証を申し出たところ、自己責任だからとのことで拒否されました。

※このFC会社の自称開発担当者が案件と呼んでいるものは実は新規開局するクリニックの看護師・医療事務の広告を探して、その周辺の空きテナントをハイエナの様に嗅ぎ付け不動産会社のアポを取っているだけで、まったく案件でもなんでもありません。また薬局経営のやの字も知らないため、新規開局時、どこに何の公費の申請をすれば良いかも全く知りません。知っているのは薬剤師が法に疎いという事実だけです。薬局とは二次産業であり、門前ドクターやスタッフの方々と良好な関係がなければ、絶対にできない仕事です。新薬創出加算品目も何も関係なく、売り上げの10%のFCを取りその恩恵は皆無。現在FC店舗で訴訟の嵐が起こっています。
また優秀な開発担当者はこういった責任者が嫌で大手チェーンにヘッドハンティングされ、開発部門に移っています。
新規開局クリニックのスタッフ募集広告を漁るだけなら、誰でも出来る事例です。


ケース3️⃣:独立支援をうたっている薬局チェーン
基本的に自社の社員が独立したら商売仇になるわけですから、これに本腰を入れている薬局チェーンは多くありません。これは独立という餌を見せて薬剤師を吊り上げ、安い給料で在宅でこき使うという、一般的に「釣り餌」と呼ばれる手口です。社員が社長に「そろそろ独立したいので案件の紹介やノウハウの教授をお願いします」と伝えると…
「もう少し近隣医療機関や患者様の信頼を得られる薬剤師になってから紹介します!」
「まだ修行が足りない!

など曖昧な返答が決まり文句で、いつまで経っても独立をさせてくれません。

※こういった会社の特徴は社長が社員に日常的に嘘をついているため、離職率が高く、実際に独立した薬剤師が皆無であるというのが特徴です。また個人の薬剤師が、少ない自己資金で創業者支援機構から2000円万円の融資を受けるためのノウハウも当然ありません。


ケース4️⃣:一流ハウスメーカーが持って来る案件
一流ハウスメーカーが一流なのは開発・交渉力であって、われわれ開局する側にとって一流な訳ではありません。メーカーが最も大切にしているのは地主との関係、開発したテナントを如何に高く売るかです。やたら高い家賃や上物建設費は、ドクターの内装や家賃を薬局側にオンされドクターは内装費無料・家賃はレートよりも割安にしていることなど日常茶飯事です。

※こういった案件は弊社では取り扱わないですし、複数の仲介会社でも大体誰も買わず、売れ残っている案件です。
結末はひっそりと閉局するか、仲介会社が地域支援体制加算を付ければ、こんなに利益があがりますよ!と煽るだけ煽って、何も知らない個人の薬剤師に売りつけたりされています。
また資金力の乏しい個人が、途中で資金繰りが立ち行かなくなったときにハウスメーカーが損を避け得するよう定期借家契約(契約期間○十年、途中で出ていく場合は残りの年数の家賃を一括払い)という契約書にしてるケースが多々あります。


長々と語ってしまったので今回はこの辺でおひらきに致します。

ご参考程度になさってください。

優良業者の選別方法、小さな薬局を患者様で賑わう活気あるお店に変えた奇跡の物語など順次お話していきたいと思います。