薬局開業・経営への道10【悪徳業者に掴まされた薬局を患者様で賑わう店に変えた社長の物語】

最近は台風なり自然災害が非常に多いですね。
皆様に大きな被害が出ないことをお祈りしています。

さて、今回は前回の予告させていただきました通り、悪徳業者に高額で掴まされた小規模薬局を患者様で賑わう薬局に変えた、とあるお友達の社長さんのお話をご紹介したいと思います。

悪徳業者の実際の契約内容

✔️土地保証金・建物代6000万円、賃料別途(内訳:保証金1000万円返金なし)→6000万円は業者指定の銀行に行けば簡単に借りられる状態。

✔️FC契約のためFC料は毎月売り上げの5%(薬剤料も含めるため薬価差益のほぼ出ない新薬創出加算品目含む)

いかかでしょうか?これが訴訟を起こされてまくっている悪質業者の実際の契約内容です。
あくまで私の推測ですが、返金のない保証金など通常ありません。
返金無しの条項がついてるので、支払った時点で地主と業者で折半していると思います。また上物に関してもプレハブなら箱が450万円、内装500万円で済むところ仲介業者が指定した建築業者で建てている為、5000万円という法外な金額を請求されています。
(当然仲介業者がピンハネしています)

薬局の概要

✔️今まで院内処方だった中核病院が院外処方になるので土地だけ抑えてある

✔️病院からの距離は4番立地で、最速で他の3件より二か月遅れのオープンになる

契約内容と概要だけ見てもかなり勇気のいるお話ですね…(笑)

さて、ここからどのように患者様に愛され、賑わう薬局に変わっていったかというのが今回のお話のミソになります。何も難しいことはありません。
雇われの薬剤師にできないことを毎日続けていただけです。

悪質詐欺案件から患者様で賑わう薬局に!

私がこの薬局の社長さんとお話ししたのは開局1年後の時でした。

現在技術料100万で来年から毎月50万円、銀行への返済が始まる。
事務員も雇っている為、このままでは1年後に自己破産してしまう。
この時、色々と具体的な相談には乗らせて頂きましたが、その後4年間、連絡が途切れてしまいます。私はうまくいかなかったのかな?と心配しながら、一生懸命やられている方なので、社長さんの自尊心を傷つけてはいけないと、こちらからの連絡は控えておりました。

丁度開局から5年後、たまたま連絡が来てお話したとき、この薬局は4件ある病院門前薬局で最も患者様の多い薬局になっていました。
これは私も聞いたときに非常に嬉しくなるお話でした。

実際に社長さんが実践したことですが…

①欠品時には必ずお届け・郵送で対応し、患者様に来局させない!

②土日・祝日・深夜でも転送電話がなれば親身になって患者様の相談に乗る!

このたった2点を毎日5年間続けていただけです。

ではなぜたったこれだけで、4番立地ながら患者様の一番多い薬局になることができたのでしょうか?この事例について考察していきます。

この薬局のある県は、薬剤師を排出する大学が県立大学1件のみで慢性的な薬剤師不足のエリア。経営者に対して高慢な態度の薬剤師が多く、年収800万円以下では求人の電話が1件もならないという少し特殊な環境でした。
当然このエリアの薬剤師は患者様に対しても高慢な態度のものが多くなります。

中核病院では採用薬が多く、処方日数も多いですよね?
門前薬局は毎日、欠品対応に追われます。立地が良い他3件の薬局は毎日出る欠品に対し100%患者様に取りに来させていましたが、この社長さんは毎日昼休みと閉店後に車でお届けしていました。単身赴任なので平日は薬局の2階に泊まり込み、転送電話がなれば深夜でも患者様のもとに駆けつけていました。このお店のある県は、車社会なので欠品した薬を取りに来るとなると大変です。足腰の悪い患者様はタクシーやバスを乗り継いでくることもしばしばありました。
欠品した薬を当たり前の様に取りに来させ、地域支援体制加算を算定しているにも関わらず、閉店後の転送電話は一切出ない。
それに対して地域支援体制加算を算定できないときから転送電話で親身になって相談に乗ってくれる、欠品しても必ずお届けしてくれる薬局。
これが徐々に、患者様の口コミで広がっていった結果でした。

このブログをご覧のみなさまはランチェスターの法則』をご存知でしょうか?

殆ど知られていないある一定の事柄を、全体の10%程度の人が認知するようになると、その認知度はあっという間に50%程度の認知度に拡がるという法則です。
開局が周りの薬局より2か月遅れ、立地は4番立地と条件が悪かったので5年かかりましたが、しっかりとランチェスターの法則に則り、患者様に愛される薬局へと変貌したのでした。
6000万円の借金を背負っている社長さんと、年収800万円以上が当たり前とふんぞり返っている雇われ薬剤師では、気迫も患者様への親切さもまるで違います。
立地が、ドクター年齢が、家賃が、科目が…と独立に二の足を踏んでいる方!
必要なのは勇気だけです!

※ただし、この社長さんのような悪質案件は絶対にやってはいけません!笑
誰もがこの社長さんのように巨額の借金をしても、強い信念とフィジカルを持ち続けていられるわけではありませんからね。

私のこれまでのブログの内容も、この法則に則り、少しでも多くの独立希望薬剤師さんに見ていて頂けたらなと思い書いています。
悪質な業者に1度騙されてしまうだけで、今後の人生を台無しにしてしまうことも多々あります。さて、次回はこのランチェスターの法則により、患者様に広めていきたい内容を書いてみようと思います。
~とある末期の脊柱管狭窄症患者様に起きた奇跡~

ひかり薬局の秋山でございました。